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2011年5月27日 (金)

東京財団フォーラム・国連をどううまく使うか」の登壇者の発言

五月十七日午後四時より、赤坂の日本財団ビルにて開催された「東京財団フォーラム・国連をどううまく使うか」における登壇者の発言を報告する。

北岡伸一東大教授「国連中心主義という言葉は実体がない。総理が国連総会に行くのは三回に一回。国連で決まったことを金科玉条にしていない。日本外交の基軸は日米。日本の国連理解は、理想主義的見方と、国連なんか役に立たないという見方の両方がある。国連は貧困撲滅・社会正義実現・平和の実現のために大切な機構。日本が国連を動かしていくのが国連中心主義。そのためには倫理学ではなく政治学が必要。二〇〇六年に、北朝鮮のミサイル実験非難決議が通った。しかし、北朝鮮による黄海の南北境界水域に近い韓国の延坪島砲撃があっても、国連は機能しない。アラブにも有効な手が打てない。その背景に中国の台頭がある。米英仏の力の相対的低下がある。そういう中で日本はどういう役割を果たすのか。安保理事国にいるといないのとでは情報の質と量が違う。モクラシー・選挙・ジャスティスを国連にそのままあてはめるのはどうか。ソフトな権威主義国家は包み込むようなことが必要。日本の国内情勢が難問。総理がすぐ変わる。安定したリーダーがいない。戦略的外交がない。『PKO参加は集団的自衛権の行使ではない』というのが世界の大多数の法学者の意見。日本の法制局のみが違う意見。PKOの武器使用基準は極めて厳格。ルワンダでは百万人が虐殺された。自然も恐ろしいが人間も恐ろしい。」

鶴岡公二外務省総合外交政策局長「世界の国連疲れ・国連馴れがある。国連は役に立つのかという疑問がある。日本外交は愚直外交。手練手管・騙しはやらない。正直。身の丈ほどの外交が各国から認められてきた。理念が大事。その理念のもとに国連を活用していく。理念の中心は人間の安全保障。国連全体の意思統一は極めて困難。各国の立場はかけ離れている。国連職員は国際公務員。日本人の美点を遺憾なく発揮すれば貢献することになる。国連組織の上層部の多くは欧米の人間。欧米理念を目標・原則にしている。手足になって働く人は非白人。『人間の安全保障』は、国内で認知度が低い。国連決議されたことも御存じないでしょう。国際平和協力に取り組む世論がもっと高まればいい。」

星野俊也大阪大学大学院教授「国連の信頼性は危機に直面。安保・地球環境問題で足並みの乱れが見られる。一九四五年の国連と二〇一一年の国連とは違う。一九四五年は国家が中心。今は大国の中でもパワーの変化がある。中国が台頭。破綻国家・脆弱国家は機能していない。アルカイダなど非国家主体が力を持って来た。経済・金融・自然・宇宙空間・サイバー空間のことなどに対応しなければならなくなっている。こういう中で国連をどう位置づけるか。日本は国連に対して真面目。誠実堅実に活動してきた。国連の中で信頼された。国連改革の先頭に立つ信頼がある。日本としてどういう世界を作り上げたいのかというビジョンを持たねばならない。アメリカとの共通戦略目標を作ることが大事。アメリカとのすり合わせが重要。日本はアジアグループにある。アジア各国との連携を深めるべし。アジアに政治経済の重心が移って来ているのなら、日本が世界標準を作る。民主主義の発展を広げる。国連は日本の立場をアピールする場。総理のリーダーシップ・官邸の力が問題になる。戦後六十年経って、日本が後から国連に加盟した事が壁になっている。」

蓮生郁代大阪大学大学院准教授「日本人にとって国連は敷居が高い。市民社会の協同の歴史が浅い。」

           ○

私は時々夢想するのであるが、日本とアメリカが国連を脱退したらどうなるのだろうか。2009-11年の「国連通常予算分担率・分担金」は、アメリカが二二%、日本は一七%を占める。日本が国連安保理常任理事国になっていないのは、企業で言えば大株主が取締役になっていないのと同じである。日本の国連に対する姿勢は、あまりに「愚直・正直」でありすぎるのではないか。「常任理事国にしなければ分担金を減らす」くらいのことは主張すべきだ。共産支那はたったの二・六%にすぎない。

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