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2010年11月24日 (水)

三の丸尚蔵館『近代の洋画家,創作の眼差し』を拝観して思う

今日参観した『近代の洋画家,創作の眼差し』は、「わが国に根付いた明治期から昭和初期にかけての洋画を,描かれた主題に着目しながら,国内及び海外の風景を描いた作品,同時代の世相を写し取った作品,わが国の歴史を題材にした作品に分けてご紹介します。出品作の多くは,各展覧会において買い上げられたものや,皇室へ献上するために描かれたものですが,新しく移入された洋画技法の習得や,社会における洋画の定着とともに,描かれる内容もまた変わっていきました。当時の優れた画家がどのように対象を見つめ,そして描いたのか,その点に注目することは現代の私たちにとっても興味深いことではないでしょうか。本展を通じて,近代洋画史を飾る名品に親しんでいただくとともに,洋画家が描いた時代や世相にも思いを馳せていただく機会になれば幸いです。」との趣旨(案内書)で開催された。

夾竹桃(山本森之助) なさけの庭(児島虎次郎) 陸海軍連合大演習(柳源吉) 林大尉戦死之図(満谷国四郎) かたみ(松井昇) 和気清麿奏神教図(佐久間文吾) 蒙古襲来之図(和田三造) 漁夫補網(三輪大次郎)などの作品を鑑賞。

「なさけの庭(児島虎次郎)」は、日本で最初に作られたという岡山孤児院の様子が描かれている。「陸海軍連合大演習(柳源吉)」は、明治天皇が明治二十三年に挙行された大演習を統監される御様子が描かれている。「林大尉戦死之図(満谷国四郎)」は、日清戦争の平壌の戦いにおいて林久實中尉が戦死した場面が描かれている。「かたみ(松井昇)」は、日清戦争において戦死した主人の遺品を前に、悲しみにくれる母子の姿が描かれている。「和気清麿奏神教図(佐久間文吾)」は、和気清麿が、称徳天皇に対し奉り、「道鏡を皇位につかせてはならない」という宇佐八幡宮の御神託を奏上する場面が描かれている。「蒙古襲来之図(和田三造)」は、元寇の際の日本軍と元軍との壮絶に戦いが描かれている。「漁夫補網(三輪大次郎)」は、浜辺に腰をおろし黙々と漁網の穴を繕う漁民たちの姿が描かれている。

これらの作品はすべて、宮内省が買い上げたものか、皇室に献上されたものばかりである。「林大尉戦死之図(満谷国四郎)」は、明治天皇が直々に展覧会でご覧になられお買い上げになったと承る。

明治天皇・皇室におかせられては、こうした絵画をご覧になることによって、戦争に身を捧げた兵士、孤児院の様子、戦死者の遺族の悲しみ、漁民の生活など、国民の姿をよくお知りになったと拝する。日本天皇の統治とはまさに「しろしめす」なのである。日本天皇は、独裁者・権力者として国民を上から支配される御存在ではない。国民と喜びと悲しみを共にされつつ君臨されてきたのである。このことをこの展覧会であらためて認識させていただいた。まことにありがたい展覧会であった。

また、元寇や日清戦争を描いた作品を参観し、今日の日本の国家的危機を思い、感慨無量なるものがあった。

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