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2010年9月 9日 (木)

小沢一郎の靖国の英霊に対する冒瀆を許すな

小沢一郎は八日、国会内で記者会見し、首相に就任した場合の靖国神社参拝について、同神社に「A級戦犯」が合祀されていることを理由に見送る考えを示した。小沢は「靖国神社は戦争で戦って亡くなった人をまつるところだ。いわゆるA級戦犯と呼ばれる方は戦争そのもので亡くなった人ではない。(合祀は)靖国神社本来の趣旨とは違う」と指摘した。

しかし小沢一郎は、昭和六一年四月二日に開かれた参議院地方行政委員会で自治大臣として次のように答弁した。

「靖国神社は一般的に常識的に言って戦没者を祭っておる、その追悼ということでだれもが自然な気持ちで行くべきものであろうと思います。したがって、私もいわゆる自分のそのような気持ちがわいてきたとき、そして時間が許せば靖国神社の参拝は今までもしておりましたし、するつもりであります」「基本的に、お国のために一生懸命、その是非は別といたしまして戦ってそれで亡くなった方でありますから、そういう戦没者に、参拝することによって誠の気持ちをあらわす、また自分なりにそれを考えるということであろうと思います。したがいまして、A級であろうがB級であろうがC級であろうがそういう問題ではないだろうと思っております。たまたま敗戦ということによって戦勝国によって戦犯という形でなされた人もいる。あるいは責任の度合いによってABいろいろなランクをつけられたんでありましょうけれども、その責任論と私どもの素直な気持ちというのはこれは別個に分けて考えていいんではないだろうかというふうに思っております」と。

ほぼまともな考え方である。しかるに、小沢は近年、いわゆる「A級戦犯」が合祀されている靖国神社には参拝しないと言いだした。小沢一郎という人は、国家基本問題において一貫性がないのである。

わが国には戦争犯罪人は日本には一人もいない。「戦争責任」と「戦争犯罪」とは全く異なる。東條英機氏らを裁いた「極東軍事裁判」はその名の示す通り「軍事裁判」なのであり、日本人自身による公正な裁判では決してなく、戦争行為の継続であり敵国の復讐であった。そこにおいて「絞首刑」の「判決」なるものを下され執行されたということは文字通り戦死であり殉難である。日本には戦勝国の戦争行為・復讐戦の戦死者・殉難者は存在しても、唯の一人も「戦争犯罪人」は存在しない。

この厳粛なる事実と、東條元総理に限らず当時の国家指導者の「戦争責任」とは全く別問題である。それは小沢が自治大臣当時「ABいろいろなランクをつけられたんでありましょうけれども、その責任論と私どもの素直な気持ちというのはこれは別個に分けて考えていいんではないだろうか」と述べたとおりである。

靖国神社は、神話の世界の神々、歴史上の偉人・聖人君子が祀られている神社ではない。戦死者・英霊が祀られている神社である。戦死者には大東亜戦争遂行・敗戦に関して法的・道義的責任を負うべき人がいたかもしれない。また現実に責任を負って自決した人もおられるし、従容として死地に赴かれた人もいる。東條英機元総理もそのお一人である。しかし、戦争責任と戦死者を靖国神社の御祭神としてお祀りし慰霊することとは全く無関係である。たとえ戦争責任があったとしても、戦争行為の継続である「極東軍事裁判」の「判決」により処刑された方々を殉難者・戦死者として靖国神社にお祀りするのは当然である。

東條英機氏等十四人の方々を「絞首刑」に処した戦勝国こそ「人道に対する罪」を犯したのである。同じ日本国民として東條氏を戦死者・殉難者として靖国神社に祀らねばならぬのである。それが日本人の道である。

小沢の「A級戰犯は靖國神社に祀られてはならない」という主張は、戰勝國が行った無法な「軍事裁判」即ち非人道的にして残虐無比な復讐を肯定する議論であり、亡くなった人々を慰霊するというわが国の伝統倫理を否定する議論である。

昭和二十八年、わが国政府は当時の国会決議を踏まえて戦勝国即ちかつての敵国の言う「戦争犯罪人」を戦死者と認定し、その遺族に「戦没者遺族等援護法及び恩給法」の適用を通達した。いわゆる「戦犯者」は戦没者であるというのは国家意思と言っても良い。今になって「戦犯」は戦死者ではないから靖国神社に祭るのは間違っているなどと言う小沢の主張はまさしく歴史への冒瀆である。

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