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2010年8月19日 (木)

守屋昌武氏の講演を聞いて

今日の『日本の司法を考える會』では、守屋武昌元防衛事務次官に収賄事件について講演していただく予定であったが、ご本人の意向により、安保国防問題についての講演となった。青木理氏は、「『日本の司法を考える会』ならぬ『日本の国防を考える会』になった」と言われたが、言い得て妙であった。しかし、とても勉強になった。守屋氏の講演で印象に残った話は次の通りである。

             ○

「三年前、刑事被告人となり、信じられるものは何もないなか、家族の絆が大切なことが分かった。村上先生には、拘置所に差し入れをしていただいた。朝から六時半までの取調べの後、拘置所の出す冷えたご飯と一汁一菜は、疲れた身には食べきれなかった。村上先生の差し入れは有難かった。

冷戦時代は、安保の中心はヨーロッパだった。ポスト冷戦は、アジア太平洋になった。この地域にある日本は役に立たなければならない。自分の國を自分で守らない民族が辿らねばならない道を今の日本は辿っている。普天間問題がそれ。

安保の大きな要因としてイスラム原理主義がある。ホメイニ師が、世界のイスラム教徒をイランに集めて、コーランを配り、イスラム教徒を一体化した。アラブでオアシスの水を抑えているのは強力な部族長。その部族長に娘を嫁がせることによって弱小部族を養ってもらう。金持ちの若者は娘を多く手に入れることが出来るが、貧しい男は手に入れることが出来ない。だからホモが多い。

オサマ・ビン・ラディンは王族の支配に力を貸している米英欧が憎い。そこで生まれたのがテロ。アメリカは建国以来、本土を攻撃されたことはない。ニューヨークの同時多発テロはアメリカを恐怖のどん底に陥れた。アメリカは飛行機のライセンスをとりやすい。テロリストは、日本の神風特攻隊を見習ったという。

第一次大戦後のアラブの領土分割に関係せず、湾岸戦争にも深く関与しなかった日本はテロの対象にならない。日本人にはイスラム原理主義者のテロへの恐怖感がない。

欧米は冷戦時代以上に国防安保に金がかかるようになった。陸軍より海空軍が金がかかる。中国の十三億の人々が全て等しく食べ出したら世界の食糧は間に合わなくなる。中国と戦争しようと思っている國はない。中国では毎年、十万件の暴動が起きている。中国は内政にお金をかけるべきなのに、二十年間軍事費を二ケタ増やしている。中国の権力はこれまで民衆によって打倒されてきた。貧困と人権の抑圧などで国民が爆発した時、その矛先を日本やアメリカに向けて来るのではないか。中国に間違った対応をしないようにすべし。

アジアが世界の安全保障の中心になっているという意識が日本国民にはない。日米安保は大切だが、日本はアメリカとの同盟関係に甘んじている。アメリカに堂々とものを言って来たのか。東京の空はアメリカの空になっている。横須賀に米軍基地があるのは、ニューヨークに日本の自衛隊基地があるのと同じ。それをおかしいと思わないのが日本国民。

アメリカは米本土を守るために大変な金がかかるようになった。それが米軍再編の原因。戦後、平和のため国のために兵士たちが死んでいない国は日本のみ。世界有数の軍事力を持っていながら、『軍隊ではない』と言っているのは日本のみ。平和を守るためには時として同胞の血を流さねばならないという決意をしていない国は日本のみ。

地形的アドバンテージ(優位性)を持った日本をアメリカは手放さない。」と語った。

小生は「日本にとって中国にどう対処するかが最も重大だ。ヨーロッパのEUも色々問題抱えている。しかるに中国を含めた『東アジア共同体』を唱える人がいる。これについてどう考えるか」と質問した。

これに対し守屋氏は、「ロシアからフランスまで大平原。兵力の移動は簡単。アジアは海という制約がある。全ては地形が教えてくれる。蒙古軍が日本を征服出来なかったのは、海があったから。朝鮮戦争は地続きだから起こった。海は安保の概念を変えるファクター。

日本はドイツ・イギリス・イタリアより領土は大きい。フランスの七割。日本は南北に長い。三つの気候帯に入っている。四百二十万キロの排他的経済水域がある。レアメタルなどの資源がある。日本は海の開発で無限の力を持つことが出来る。世界で六番目の海洋面積がある。地形的にヨーロッパと同じような共同体はできない。軍事的にも経済的にも合意成立は難しい。」と答えた。

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東アジア共同体というのは、夢物語である。「共同体」とは一体どういう定義なのか。それも明確ではない。経済的に協力するとか文化交流をするということは、別に共同体などというものを作らなくてもできる。わが国と共産支那とが「共同体」を形成するなどというのはあり得ないことだ。

国家防衛の中枢を担って来た人の話なので大変に勉強になった。青木理氏は「守屋氏が収賄罪に問われるのなら、霞が関の官僚の多くが収賄罪に問われる」と語っていた。そうであるのなら、国防安保問題でこのような専門的知識と経験を有する守屋氏が実刑が確定し、国家に貢献できない状況になるというのはまことに残念である。

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» Fuenma chronicle [Tokyonotes 東京義塾]
元防衛事務次官の守屋武昌氏の講演を聴く機会があった。日本の司法を考える会の行事である。月刊日本主幹の南丘喜八郎氏の挨拶があった後に、司会を務めたジャーナリストの青木理氏から、1時間の話の予定と後の意見交換とするとの話があった。 冒頭で、守屋元次官本人の事件の話については言えないとの前置きの話があったが、三年前の事件で生活が一変したが、その中で家族の絆(きずな)の重要性に触れられ、しかし、世の中捨て... [続きを読む]

受信: 2010年8月19日 (木) 18時59分

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