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2010年2月25日 (木)

昭和維新運動史と現代

今、早稲田大学教授の堀真清氏の『西田税と日本ナショナリズム運動』(岩波書店)という本を読んでいる。約八百頁の大著である。西田税のことを中心とした「昭和維新運動史」と言って良い本である。なかなか勉強になる。

大正末期から昭和初期も、今と全く同じで、支那大陸とアメリカとの関係をどうするかが、国家民族の行く手を大きく左右する問題であったその上、ロシア共産革命が成功し、日本にも國體転覆を目指す「共産革命思想」が流入してきた。そうした状況の中で、日本のナショナリストたちが思想的にも政治運動の面でも、苦闘し続けた。この本にはそうした事が詳しく書かれている。

戦前の維新運動・ナショナリズム運動に対する宗教の影響は非常に強い。神道国学はもちろんであるが、日蓮主義、大本教が甚大な影響を与えている。北一輝も西田税も日蓮主義を信奉している。

浄土真宗本願寺派の法主の大谷光瑞が、アジア主義者で、大本教の『日米戦争論』と共に、西田税に大きな影響を与えたことは、この本で初めて知った。大本教の「建て替え・立て直し」は昭和維新に通じる思想であり、『世界統一』も世界維新に通じる。

今日、大本教は勢力が衰えた上、維新勢力との接点はなくなっている。最大の日蓮系教団たる創価学会はご覧の通りの状況である。

昭和維新運動は、軍隊経験のある多数の国民で形成される在郷軍人会を味方に引き入れ戦力にする動きがあった。これが成功すれば大きな力となったであろう。しかし軍部がこれを抑えたという。

用語の問題であるが、ファシズム・国家主義・ナショナリズム・全体主義・右翼という言葉の定義をきちんとしなければならない。日本主義とか日本精神と言っても、その定義はなかなか難しい。日本精神・日本主義が、全体主義かと言うと決してそうではない。

混迷を深める現代において、新たなる世界秩序建設のために日本が正しく貢献し参画出来得る原理を示すべき時なのである。しかるに、東京裁判史観から脱却し得ず戦後体制を打倒解体し得ない日本は、とてもそのようなことを為しうる状況には立ち至っていない。これが最大の問題なのである。日本も健全にして正統な民族主義・民族的自覚(これは民族エゴとは似て非なるものである)を強めねばならない。

今日の求められている民族主義には、民族の伝統に回帰することによってその民族が幸福になるのみならず、世界の平和実件に寄与するという理想がなければならない。今日の日本に求められているのも、日本民族精神による世界平和確立への貢献である。

民族主義はそれぞれの民族の中核精神への回帰と憧憬の心がその根幹となっている。日本建国の精神は世界平和の思想(八絋一宇・万邦共栄の精神)であり、日本民族の中核精神たる日本国体精神は、覇権覇道闘争の精神ではなく、米作りという絶対に平和的な人間の生産活動より生まれた精神である。地上においてお米を豊かに実らせるというのが、日本天皇が神から授かった御使命である。我等日本人はこの精神を発展させて、いよいよ混迷を深める真の全世界の安定と繁栄の実現のために貢献すべきである。それが即ち「この漂へる國を修理固成(つくりかためな) せ」との御神勅を奉行することなのである。

 

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