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2009年12月 2日 (水)

千駄木庵日乗十二月一日

午前は、母のお世話。

午後一時半、父が入院している病院に赴き、医師の説明を聞く。その後、父に付き添う。

帰宅後は、雑誌編集の仕事。「月刊日本」連載原稿執筆・完成・送付。

         ○

病院で医師の説明を聞いたのだが、なかなか納得できるものではなかった。どう考えても、病院側の不注意というかミスがあったとしか思えない。

父は確かに老衰で体が弱っていた。尿に黴菌が入って苦しみ出し、救急車で病院に行き、診察を受けたら、すぐ入院ということになった。泌尿器の方は小康を得た。

ところが、十一月二十七日、急に病院から連絡があり、医師が会いたいと言ってきた。「肺に食べ物が入り、熱が出た。どういう結果になるか分からない」と言う。そして、食事をいったん中止するという。咽頭反射の老化による低下が原因だという。しかし、家にいるときは、全くそういう兆候は見られなかった。十一月二十六日、私が病院に行って父に会った時、父は『病院の人に無理に食べ物を食べさせられた。』と言っていた。このことで、食べ物が肺に入り、肺炎か何かを起こしたのではないか。

そして、今日またまた病院に呼ばれ、医師の説明を受けた。今度は、何と「MRSA(耐性ブドウ球菌)」というのが父の喉に付着したという。

「耐性ブドウ球菌」とは辞書によると「耐性を獲得し、最も有効なメチシリンという抗生物質が効かなくなった黄色ぶどう球菌(食中毒などの原因となる菌)。学名、スタフィロコッカスアウレウス。皮膚や鼻腔などに存在。院内感染の原因ともなり、抵抗力の弱い手術後の患者や高齢者・未熟児などが感染しやすく、一旦発症するとほとんどの抗生物質が効かないため治療は困難。多剤耐性黄色ぶどう球菌。MRSAMethicillin-resistant Staphylococcus aureus)」という恐ろしい黴菌である。これが私の父の喉に付着したという。つまり治療が困難な黴菌に院内感染してしまったのである。


そして医師は、「回復の見込みはない。延命とは延苦である」とか言って、延命治療については私に任せると言うのだ。病院側の不注意、医療体制の不備によって治療困難な状況に私の父を追い込んでおいて、延命治療は私の判断に任せるなどというのはあまりにも無責任であり、無反省である。

私が会いに行くと、目を覚ましていれば、色々話しかけてくる。そして食べ物を欲しがる。つまりまだまだ意識もあり、生きる意欲もある父について、息子の私が『もう延命させなくて良い』つまり『殺してくれ』などと病院に言えるはずがないではないか。

しかも嚥下能力の低下も、「耐性ブドウ球菌」の付着も、病院側のミスによると判断せざるを得ない。そういうことへの反省も責任の自覚も無く、「回復の見込みはない。延命とは延苦である」などと言って、事実上、私に「父親を殺してくれ」と言わせようとしているのだ。これは全く許し難いことである。

この病院については、これまでも色々腹の立つこと、許せない事があった。ことは父の命にかかわることである。断固として戦いたい。

心が落ち着かないので、乱文になってしまったが、穏やかに生きてきた父が最晩年になって、このような苦痛を味わうとは夢にも考えなかったし、可哀そうでならない。しかも医師の態度たるや傲岸不遜と言うか全く誠意が感じられないものであった。

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