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2009年6月 5日 (金)

千駄木庵日乗六月四日

午前は父母のお世話。訪問看護師の方と共なり。

午後からは在宅して、「月刊日本」連載中の「萬葉集」講義の原稿執筆・完成・送付。そして「大吼」連載原稿の校正。その後、「政治文化情報」の原稿執筆。今日も又忙しい一日でした。

         ○

鳩山邦夫氏が、日本郵政の西川善文社長の続投を認可しないと主張し、妙にいきり立って「私に認可権限がある。」「政治家の言葉は重い。私は信念を曲げることはしない」「正義のため」「曲ったことは許さない」とか言っている。そして首相に罷免されることも覚悟で西川氏の続投を認めない考えを強調している。私はこの問題にはさして興味は無いが、鳩山氏が「正義」を強調していることが気になる。

これまで「正義」を主張し、「世紀末的危機」「終末」を煽り、そして「救済・革命」を説いてきた宗教運動や政治運動は、かえって闘争と殺戮を生んできた。

政治面では、スターリンも毛沢東も金日成もポルポトも自分の主義主張が正義と信じ込み、國民全体にこれを強制し、自由を奪い、そして何百万何千万という人々を大量虐殺した。宗教面では、イスラム教・ユダヤ教・キリスト教の対立は、テロや戦争を生んでいる。

オスカー・ワイルド(イギリスの劇作家・小説家)に、「もっとも害を与える人は、もっとも善いことをしようと努めている人だ」という言葉がある。「自分の行っていることが正義だ」と信じ込み実行する勢力や個人が、殺戮を行い、世の中を暗黒にし、独裁政治を生み、國民から自由と繁栄を奪うという意味であろう。

自由で幸福な世の中とは、ある特定の人が唱える「正義」を絶対のものとして民衆に押しつける世の中ではない。独裁者は必ず「正義」を旗印として独裁政権を手に入れる。レーニン、スターリン、ヒトラー、毛沢東、金日成などは皆そうだった。

真に正義を尊重し正義の実現を目指す人は、そしてそれが権力を持つ人であればなおさら、自由で柔軟で大らかな精神を持っていなければならない。正義や人間の幸福は法律や権力のみによって実現されるものではない。法律や権力のみによって実現された正義の世の中とはロボットが動く世の中と同じである。

「正義」の呪文を唱えながら、自由を否定する狂気は暗黒と専制の世の中をもたらす。それが一七八九年革命直後のロベスピエール独裁下のフランスであり、革命後の旧ソ連であり、共産支那であり、北朝鮮である。独善的な宗教教義や政治思想の教条に支配されることなく、自然に國民を正しき道を歩ましめることが必要である。

鳩山氏の発言はこれほど大げさな問題ではないが、あまり軽々しく「正義」を主張しない方がいいのではないか。大学卒業以来長年にわたって鳩山邦夫氏の秘書を務めた民主党の牧義夫衆院議員が、郵便法違反罪で起訴された障害者団体「白山会」会長・守田義国被告が社長を務める経営コンサルタント会社から政治献金を受けていたことを考えればなおさらである。

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