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2009年2月 4日 (水)

千駄木庵日乗二月三日

午前は父に付き添って病院に赴く。定期的な診察と治療。

午後は、上野公園の東京国立博物館表敬館で開催中の「福澤諭吉展」参観。

「慶應義塾創立150年を記念して福澤諭吉の遺品、遺墨、書簡、自筆草稿、著書などをとおして福澤の先導的な思想と活動を紹介するとともに、慶應義塾ゆかりの美術品などを展示

いたします。」との趣旨で開催された。

毎日稽古に用いたという居合刀が展示されていた。福澤諭吉は欧化主義者と言われているが、やはり武士としての矜持をかあったことが分かった。李氏朝鮮時代の開明派の政治家・金玉均の「福澤諭吉先生我師也」の書福もされていた。福澤諭吉は、隣国朝鮮の健全なる発展を願い、開明派の支援をしていた。金玉均氏の暗殺によりそれが裏切られたのである。

福澤諭吉の言う「實學」とは、今日的な言葉で言うと「科学的なものの考え方」即ち真の合理主義であろう。イデオロギーとしての合理主義ではない。智と徳とは一体であり、智を獲得すると知らず知らずに徳・気品をそなえることとなると説いている。

明治33211日に制定された慶應義塾の「脩身要領」という道徳綱領が展示されていた。それには、「凡そ日本国に生々する臣民は、男女老少を問はず、萬世一系の帝室を奉戴して、其恩徳を仰がざるものある可らず。此一事は、満天下何人も疑を容れざる所なり」とあった。福澤諭吉は、進歩的開明的な思想を説いたが、尊皇精神の持主であった。

私は、『学問のすゝめ』『文明論之概略』しか読んでいない。福澤諭吉の思想は、国粋主義者から批判を浴びることが多かったが、学ぶべき点も多いと考える。何故か今回の展覧会では展示されていなかったが、福澤諭吉の「帝室論」「尊王論」は、是非とも読まねばならないと思っている。島津書房から発刊されたものを持っているにもかかわらずまだ読んでいない。

この後、本館で開催中の「日本美術の流れ」も参観。日本美術の素晴らしさを実感した。少しキザな言い方だが、この國に生まれて良かったと思った。

夕刻、小学校の先輩と懇談。昨年末に、脳腫瘍で亡くなった私の初恋の人の兄上である。自覚症状が全くなかったので発見が遅れたとのことである。幼馴染が亡くなるというのは実に悲しくもさみしいことである。心からご冥福を祈る。

帰宅後は、「大吼」誌連載の萬葉集講義の原稿執筆・完成・送付。

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