千駄木庵日乗十二月十二日
午前は父母のお世話。訪問看護師の方と共なり。
午後からは在宅して原稿執筆。
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深夜一時過ぎから、NHKの衛星第二放送で新国劇の「極め付け・国定忠治」を放送している。新国劇創設者・澤田正二郎から引き継いだ辰巳柳太郎の当たり役である。
私はこの劇が大好きで、「赤城の山も今夜を限り、生まれ故郷の国定の村や、縄張りを捨て国を捨て、可愛い子分の手前たちとも、別れ別れになる門出だ」「首は細っても長岡の忠治、生涯男の魂は曇らせたくねえ了見だ」「察してくんねえ。忠治は義理に生きとうござんす」という名台詞をはじめ、辰巳のセリフはほとんど覚えている。行友李風という人の脚本である。辰巳の殺陣もまことに見事なもので、胸のすく思いがする。
辰巳柳太郎が亡くなってもう二十年くらいになるだろうか。青山葬儀場で行われた葬儀には参列させていただいた。島田正吾には二回ほど会ったことがあったが、辰巳には会うことが出来なかった。
私は、高校時代から新国劇の大ファンで、お小遣いをためては、演舞場・明治座・コマ劇場の公演を見に行ったものである。新国劇は無くなってしまった。そして島田・辰巳の弟子であった緒形拳も亡くなってしまった。まことにさみしい限りである。
澤田正二郎のお墓は谷中墓地にあるので、時々仰いでいる。今は新国劇のような正統派の劇団は無い。島田・辰巳の名演も見ることが出来ない。かろうじて、NHKが収録していた作品が二、三あるだけである。今日はその一つが放送されているわけで、もちろんビデオに収録ている。
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