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2008年12月 4日 (木)

千駄木庵日乗十二月三日

午前は父母のお世話。訪問看護師の方と共なり。

午後一時半より、赤坂の日本財団ビルにて、「シンポジウム・食の安全と行政監督ー日中の課題―」開催。

登壇者の印象に残った発言は次の通り。

関山健・東京財団研究員「中国製食品なくして日本の食卓は成り立たない。しかし中国の食品の安全の仕組みが分からない。」

加藤秀樹・東京財団会長「食の安全問題は金融問題と共通点あり。銀行が金を貸す時、相手の企業経営者の顔が見え、付き合い、信頼関係を築いて、銀行も儲かり、相手も栄えることがわかって貸していた。ところが今は、債権を集めてこねて団子にして切り売りする。その団子に毒がある。食べ物も同じ。誰が作ったか分かる食品は信頼性がある。今は世界中から食品を輸入して来て、流通させ、売ったら終わり。その後どうなるかは知ったことではないという状況。」

李肇星・中国国際友好連絡会会長(元外相)「神は愛である。『民は食を以て天とする』という中国の言葉がある。食の問題は日中両国の関係の発展の中から出て来る。刑事事件は犯人を捕まえるべし。大所高所から問題に取り組むべし。相互理解を深めるべし。」

林偉・中国国家品質監督検査総局輸出入食品安全局副局長「大衆は安全な食品を食べる権利がある。食品貿易はボーダーレスになっている。新技術・新素材が使われるようになったので、未知のリスクをもたらした。人為的毒物混入事件の真相を解明し両国民に明確に説明すると思う。」

魯広錦・中国国務院新聞弁公室第一局副局長「中国はゆとりある社会を目指している。法律の整備も大きな成果を上げた。法律違反があれば取り締まる。」

杉浦勝明・農林水産消費安全技術センター理事「食の安全は信頼関係の上に成り立つ。犯罪性のある毒物混入にはフードディフェンスが必要。食品工場への人の出入りのコントロールが必要。」

嘉田良平・横浜国立大学環境情報研究院教授「日本の消費者は中国を信頼していないし、出来ない。信頼が全て。市場経済のメカニズムを信頼してきたが、そこに限界が見えて来た。情報が不完全。行政の対応が遅れて来た。生産者のリスク管理が不十分。食品事故はいくら良い制度を作っても起こり得るものとして対処するのがリスクマネージメント。事故発生直後にいかに効果的に対応できるかに尽きる。事故発生を未然に防ぐ体制構築が重要。中国餃子問題の未解決・有耶無耶は不幸。中国は日本からの信頼を失うと国際社会の信頼を失う。中国の法制度は完璧になってきたが、それと実際に問題が起きないかどうかは別。中国からの輸入食品で問われているのは、法制度の実効性が担保されないこと、法律順守への価値観即ち倫理観の欠如、客観的なチェック機能の欠如、不十分なリスクコミュニケーション、の四点。中国は法整備が行われているにもかかわらず、事件が発生する。そこにメスを入れる必要あり。」

呉永寧・中国疾病対策予防センター栄養食品安全研究所教授「日本の法律を参考にして食品安全に関する法律を作った。ゼロリスクはあり得ない。何時までもリスクにさらされる。我々は日本から色々なコンセプトを学んだ。食品安全について中国は途上国の中では良い方。先進国と比べるとギャップがある。衛生状況向上の為、中国は途上国として最善の努力をしている。」

福田善久アイアグリ株式会社常務取締役「食品の安全を完全に担保するには、関係者の能力・モラルに依存せざるを得ない。儲けより消費者の安全を優先する気持ちが第一。優秀な生産者は生産性の向上と安全性の確保を両立させている。現状の日中間では背景・状況・スタンダードが異なる。時には『売らない・買わない』勇気が求められる。相互理解を深めるしかない。日本商社の役目は、日本の安全管理ノウハウを中国に持ち込むこと。」

高志賢・天津市衛生環境医学研究所教授「日中間の定期的食品安全学術交流が必要。」

帰宅後は、『月刊・日本』連載中の萬葉集講義の原稿執筆・完成・送付。

           ○

日中間の食品問題は、結局、道義・道徳の問題なのである。鄧小平の「白い猫も黒い猫も鼠を捕るネコが良い猫だ」という言葉が、国益・経済的利益追求ためなら、道義・道徳はどうでもいいという風潮を生み出したと言える。支那には、孔孟の道という道義精神があった。一体それは何処に行ってしまったのであろうか。

支那側出席者は、「中国は途上国だ」という言葉を繰り返した。日本に助けてもらいたい時には、こういうことを言うが、日本を政治的・軍事的にとっちめたい時には、中華思想丸出しになって居丈高になる。これは余りにも身勝手である。

道義の希薄な国が核武装していることにわが日本は最大の警戒心を持つべきである。これは決して偏狭なナショナリズムでもなければ、「中国敵視」でもない。独立国家として自国の安全と独立を護るための当然の態度である。

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