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2008年9月25日 (木)

千駄木庵日乗九月二十四日

午前は父母のお世話。訪問看護師の方と共なり。

午後は、ある経済学者の研究室を訪問。懇談。いろいろ貴重なご意見を承りました。後日報告いたします。

午後六時半より、豊島区立駒込地域文化創造館にて、「萬葉古代史研究会」開催。「萬葉集」巻十五及び十六を講義。

帰宅後は、原稿執筆の準備など。

               ○

今日は、狭野茅上娘子(さののちがみのをとめ)の歌を講義しました。この女性は萬葉後期の代表的な女性歌人で、情熱的な相聞歌を歌った人です。結婚早々に夫が罪を得て越前に流罪となりました。その夫を慕う歌が「萬葉集」に収録されているのです。

君が行く道の長手を繰りたたね焼き滅ぼさむ天の火もがも (あなたが行く長い道のりを、くるくると手繰り寄せるようにして、焼き尽くしてくれる天の火がないものか。そうすればあなたは越前に行かなくてすむであろう、という意)

帰りける人来たれりと言ひしかばほとほと死にき君かと思ひて

(赦免されて帰って来た人が都に着いたと伝え聞いたので、あやうく死にそうになりました。あなたがお帰りになったのかと思って、という意)

我が背子が帰り来まさむ時のため命残さむ忘れたまふな

(私の愛するあなたが帰って来られる時のために命を残しておきましょう。私のことをお忘れにならないで。)

萬葉時代すなわち古代日本の女性の素直で情熱的な恋歌です。中古時代の和泉式部、近代日本の与謝野晶子はこういう歌の心を継承したのであります。

現代日本には、こういう歌を詠む人はいません。萬葉時代の大らかにして明るくそして情熱的な精神は喪失してしまったのであります。時代が進み、科学技術が進歩したからとて、人間が幸福なるなどということはありません。何回も同じことを書くようですが、私たちの日本人の本然の精神を回復すべきであります。それは記紀・萬葉の世界に回帰するということであります。

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