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2008年7月22日 (火)

千駄木庵日乗七月二十一日

午前は父母のお世話。訪問看護師の方と共なり。

午後からは在宅して、原稿執筆、書状執筆、諸雑務。

          ○

石原慎太郎氏が十八日の記者会見で、「皇室は何のためにあるんですか? 皇室は? 国民のためにあるんでしょ? 国家のためにあるんでしょ? ね? この国を形成している人間でしょ、皇室の方々。」という発言をした。

この発言に対して小生は、一昨日の本欄で、「こういう考え方は、人民に主権があり、君主は国民の言いなりになるべきだという西洋国家観に基づくもので、日本国憲法と同根の思想である。日本國體精神とは絶対に相容れない思想である。」と批判した。

日本を弱体化する目的で押し付けられた「現行占領憲法」の「前文」には「日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、…主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであつて、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。…この憲法は、かかる原理に基くものである。われらは、これに反する一切の憲法、法令及び詔勅を排除する。」とあり、第一条に「 天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であつて、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基く」とある。

この条文が、「政府権力による天皇・皇室の恣意的な政治利用」を許す原因となっているのみならず、日本國體を隠蔽し、國體破壊への導火線となっている。日本國體を正しく体得していない政治権力者は「主権者国民の総意に基づく地位にある天皇は、主権者国民の選挙による代表者として権力を行使する政治家、そして国民の中から試験で選ばれた官僚の操り人形になるのは当然」という意識を持つと考えられる。そして、天皇・皇室を政治的・恣意的に利用し奉るという不敬を侵すこととなる。石原慎太郎氏が良い例である。

ともかく、今日の政治家・官僚の質の低下、尊皇心・皇室尊重の心の低下が憂えるべき状況にあることは事実である。

「現行憲法」の第一章「天皇条項」は、伝統的な現御神・祭祀主としての天皇および日嗣の御子の御本質・日本國體の真姿を正しく表現していない。歴史的連続性・伝統性を無視した「象徴」などという地位になっている。「象徴」という地位が一体いかなるものであるのか明確ではない。だから、まことに恐れ多い事ながら、皇族の方々は政治家や官僚の非人間的にして無機質な「操り人形」のようなお立場に立たれるほかはなくなるのである。

神話時代からの悠久の歴史を有する日本國体を、西洋の契約思想や人間不信を基盤とした西洋の憲法概念に基づいて成文憲法に規定することは重大な誤りである。「主權」が、「天皇」にあるか「國民」にあるかを、論議すること自體、日本の傳統的な考え方・國體觀とはなじまない。この一点を以てしても、現行占領憲法はまさしく日本の傳統を破壊する憲法である。 

 わが国は、信仰的・祭祀的統一によって形成された国家である。そしてその祭祀主が天皇であらせられるのである。祭祀国家として約三千年の時間的連続・歴史を有してきたことが最も大切な日本国の本質であり、日本國體の尊厳性なのである。日本国は、國家の意思を最終的に決定する權力たる主権を持つ国民の意思によって形成された国家、すなわち権力国家・統治システムとしての国家ではない。   

                              

 日本国家の生成は記紀神話で伝えられている。記紀によると、国家成立の三要素たる国土・君主・国民は、伊耶那岐命・伊耶那美命二神から生まれ出た存在であり、命の源を一つにする「はらから」である。天皇と国民の関係は、支配・被支配の関係ではないのである。祭祀主たる天皇は、国民を支配し隷従させたのではなく、信仰的権威(これを御稜威という)によって統率し統一したのである。

 権力支配組織ではない日本國體を、西洋的主権論で規定することは全く誤りであり、國體の破壊である。日本國の統治大権は建國以来、天皇にあると言うことを憲法に明確に示すべきである。天皇の統治大権とは、権力や武力による支配ではなく、祭祀と一体のものであり、天皇が神聖な信仰的権威によって統率し統一することである。

天皇の御地位が「主権の存する日本国民の総意に基づく」とするのは、天皇中心の國體の歴史性・時間的連続性を無視している。「万世一系・皇統連綿」の國體を明確に憲法に示すべきであると思う。

石原氏は、現行占領憲法破棄論者である。であるならば、日本國體についての正しい認識を持ってもらいたいし、何よりも、皇室に対する慎みの心を持ってもらいたいと念願する。

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