« 千駄木庵日乗八月三十一日 | トップページ | 千駄木庵日乗九月二日 »

2007年9月 2日 (日)

千駄木庵日乗九月一日

午前は父のお世話。訪問看護師の方と共なり。

午後二時より、内幸町の日本プレスセンターにて、「アジア問題懇話会」開催。渡辺利夫拓殖大学学長が、「海のアジア、陸のアジア」と題して講演し、「今後の日本は海洋国家と連携すべきか、大陸国家と連携すべきか、歴史的先例から見てみたい。福沢諭吉は『時事新報』(明治18年3月16日)において『我輩を以て此二國を視れば今の文明東漸の風潮に際し、迚も其獨立を維持するの道ある可らず。幸にして其の國中に志士の出現して、先づ國事開進の手始めとして、大に其政府を改革すること我維新の如き大擧を企て、先づ政治を改めて共に人心を一新するが如き活動あらば格別なれども、若しも然らざるに於ては、今より數年を出でずして亡國と爲り、其國土は世界文明諸國の分割に歸す可きこと一點の疑あることなし。如何となれば麻疹に等しき文明開化の流行に遭ひながら、支韓兩國は其傳染の天然に背き、無理に之を避けんとして一室内に閉居し、空氣の流通を絶て窒塞するものなればなり。』『今日の謀を爲すに、我國は隣國の開明を待て共に亞細亞を興すの猶豫ある可らず、寧ろその伍を脱して西洋の文明國と進退を共にし、其支那朝鮮に接するの法も隣國なるが故にとて特別の會釋に及ばず、正に西洋人が之に接するの風に從て處分す可きのみ。惡友を親しむ者は共に惡友を免かる可らず。我は心に於て亞細亞東方の惡友を謝絶するものなり。』と論じた。東アジア共同体へミットするのは危うい。日中・日韓・日鮮関係は友好とは程遠く、憎悪のぶつけ合い。日清・日露開戦前とよく似ている。当時のオピニオンリーダーの危機意識から学ぶべき点が多い。福沢の気分は良く分かる。『悪友』とは清国と朝鮮のこと。福沢は清国と朝鮮の手の施しようのないリアリズムの欠如に呆れた。『支韓兩國は其傳染の天然に背き、無理に之を避けんとして一室内に閉居し、空氣の流通を絶て窒塞するものなればなり。』はその通りであり、清国・朝鮮は亡国の道を歩んだ。そしてその背後に南下せんとするロシアがあった。当時の日本は、ロシア・中国・朝鮮に張り出す等圧線からいかにして身を守るかが問題であった。福沢は隣国と謝絶しアイデンティティを東洋ではなく、西洋に求めるべしとした。清国・朝鮮は日本にとって極めて厄介であった。清国・ロシアと戦争をして勝ったことによって今日の日本がある。この当時と今の日本の状況はよく似ている。核弾頭をつけた北のミサイルの標的は消去法によって日本以外にあり得ない。今は朝鮮半島をめぐる日本と清国との覇権戦争よりももっと厳しい状況。それなのに日本の政治家とオピニオンリーダーの安穏な姿勢はどうしたことか。韓国は韓国に対して砲門をずらりと並べミサイル連続発射をした北に対して融和的態度をとっている。そして韓国は反日・反米。韓国に親日的であった歴史はない。反日が制度化の時代に入った。法律を作って親日派の子孫の財産没収を行っている。事後法によって日本を裁こうとしている。この国の法感覚は一驚に値する。竹島を不当不法に占拠している韓国が日本の不法を言い立てている。専制主義プラス排外主義が朝鮮の伝統。朝鮮は中国・ロシア・日本という大国に挟まれた国。廊下国家。血族が強く結び付かないと自分達を守れない。そういうDNAが冷戦崩壊と共に一斉に吹き出ている。韓国と交流すれば反日は薄らぐという考え方に私は与しない。中国は歴史問題で日本を責め立てた。中国の歴史認識は中国にいっぱいある偽造品と同じ。偽りが多い。福沢は朝鮮が好きだった。そして近代化を望んだ。金玉均などの開化党を支持した。しかし朝鮮は国の危機を顧慮することなく内部紛争・党派抗争をして近代化が出来なかった。福沢はそういう朝鮮に嫌気がさした。そして出来たのが『脱亜論』。日本は日英同盟を破棄して大陸に入りみじめな敗戦となった。戦後は、日米同盟を結んで六十年、パーフェクトの平和を享受した。その半分は偶然、半分は日米同盟の結果。大陸(ランドパワー)と連携した時、日本は不幸になる。東アジア共同体に私は反対。中国は東アジア共同体によって日米離間を図り、中国のアジアにおける覇権確立を図っている。日本は、アメリカ、台湾、アセアン、インド、オーストラリア、ニュージーランドという海洋国家と連携を図り大陸を牽制すべし。大西洋は英米同盟で平和を保ち、太平洋は日米同盟で平和を保つ。中国がアジアにおける覇権国家にならないように制御するのが日本の大きなテーマ。制海の問題。」と語った。

奥野誠亮元法相が「創氏改名は強制ではなく韓国人の希望する政策だった。安重根は韓国では英雄だが、日本では明治の元勲を殺した殺人犯。お互いの考え方を理解して行かねば争いになる。日本国民に何が正しい歴史であるかを認識させるのが大事。」と語った。

午後六時より、神田学士会館にて、「憲法懇話会」開催。高乗正臣平成国際大学教授が司会。宮務法・国務法の分別について、また『教育勅語』と『教育基本法』について討論。

           ○

「脱亜入欧」論が正しかったか否か、極めて難しい問題であります。わが国が欧米文化文明を受容し近代化を実現した事は正しいことでした。また、大陸に深入りせず、海洋国家として歩むべきだったという考え方も正しいと思います。しかし、「我國は隣國の開明を待て共に亞細亞を興すの猶豫ある可らず、寧ろその伍を脱して西洋の文明國と進退を共にし、其支那朝鮮に接するの法も隣國なるが故にとて特別の會釋に及ばず、正に西洋人が之に接するの風に從て處分す可きのみ。」という考え方はどうしても肯定することはできません。西洋人がアジア・アフリカを侵略した如く日本も侵略すべしと言っているような思えるからです。この問題については、「政治文化情報」今月号に於いて少し論じました。

|

« 千駄木庵日乗八月三十一日 | トップページ | 千駄木庵日乗九月二日 »

コメント

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/121949/16314615

この記事へのトラックバック一覧です: 千駄木庵日乗九月一日:

« 千駄木庵日乗八月三十一日 | トップページ | 千駄木庵日乗九月二日 »